マリー・クリスティーヌ プロヴァンス ロゼ

人魚に涙は無い。

"She glanced at the sharp knife and again fixed her eyes on the prince,

who whispered the name of his bride in his dreams.

(握りしめたナイフの鋭い切先をじっと見て、人魚はその目を再び王子に移した。

王子は寝言で花嫁の名を呼んだ。)

 

 

 

 

She  was in his thoughts, and the knife trembled in the hand of the little mermaid—but she flung it far from her into the waves.

(この人の頭の中は花嫁のことでいっぱい-

手の中でナイフが震えた。その時、人魚はそれを思いきり遠く波間に投げ棄てた。)

 

 

 

The water turned red where it fell, and the drops that spurted up looked like blood.

(ナイフが落ちた所の水が赤く変わって、吹き出したしずくがまるで血のようだった。)

She cast one more lingering, half-fainting glance at the prince,

then threw herself from the ship into the sea and felt her body dissolving into foam."

(今一度、人魚は半分虚ろな目で王子を見た。そのせつな、船から身をおどらせて海に飛びこんだ。

そしてみるみる体が泡になってとけていくのを感じた。)

ハンス・クリスチャン・アンデルセン作

J.H.スティックニー編 Little Mermaidより

ディズニーのリトルマーメイドは、めでたく王子と結婚しますが、アンデルセンの人魚姫は愛が成就せず、泡になってしまいます。

泡と消えた人魚がその後どうなるのか・・・このお話にはあと少し続きがあるのです。

 

原作によると、人魚は涙を流して泣くことができないのだそうです。

それでもこのお話には、目には見えない人魚の涙がふたつ出てきます。

ひとつめは「王子の愛を得られなかった嘆きの涙」

そしてふたつめは・・・それはまた別の機会、別の作品で。

 

 

瓶はマリー・クリスティーヌ プロヴァンス ロゼ(375ml)。

形が壺のようにも、魚のようにも、涙のようにも見え、タイトルを「涙」にしました。

ワインは輝きのある美しいサーモンピンクで、甘くはなく、爽やかでドライな味わい。

香りは強くありませんでしたが、花のようにフレッシュな感じでした。

アルコール度数が高めだったらしく、いっぺんに飲んだらお酒弱虫の私はへべれけに。